私たちが提供しているのは「美容鍼」や「痩身」という施術だけではありません。「ここに来てよかった」という時間と体験そのものを提供しています。お客様は不安・期待・コンプレックスを抱えて来店されます。その心に寄り添うことが、最上級の接客の出発点です。
最上級接客・マナー研修
社会人マナーの基礎から、言葉遣い・敬語・礼節・所作・場面別フレーズまで。「また、あなたに会いたい」と思っていただける接客をつくる総合教本。
📑 目次(全11章)
1. 接客の心構え 〜おもてなしの本質〜
技術や言葉づかいの前に、まず「何のために接客するのか」を共有します。
接客で大切にする「5つの心」
来店してくださったこと自体への感謝を、表情と言葉で表す。「来てよかった」は入店3秒で決まる。
数あるサロンの中から選んでいただいたことへの感謝。常連様にも「いつもありがとうございます」を欠かさない。
売上のためではなく、お客様の悩み解決のために。提案は「押す」のではなく「お客様の利益」から発想する。
寒そう→ブランケット、疲れていそう→声かけを控える。要望を口にされる前に気づくのが一流。
見えないところでも手を抜かない。お客様がいない時間の所作・言葉づかいが、本物の質をつくる。
2. 社会人マナーの基礎
接客以前に、社会人として信頼される土台。お客様にも同僚にも見られています。
身だしなみ(清潔感が9割)
「おしゃれ」は自分のため、「身だしなみ」はお客様のため。美容・健康を扱う私たちは、自分自身が広告塔です。
○ あるべき姿
- 髪:清潔にまとめ、お辞儀で顔にかからない
- 爪:短く切り清潔(施術者は特に厳守)
- 制服・白衣:シワ・シミ・ほつれなし
- においケア:無香〜微香。柔軟剤・香水は控えめ
- メイク:健康的でナチュラルに
- 靴:かかとを踏まない・磨いておく
× 避けるべき
- 派手なネイル・長すぎる爪(施術の妨げ・不衛生)
- 強い香水・タバコ・口臭・体臭
- 大ぶりのアクセサリー(施術中お客様に当たる)
- よれた服・毛玉・見えるインナー
- 無精ひげ・寝ぐせ・伸びた爪
※ 出勤前は必ず鏡の前で全身チェック。「お客様の顔の至近距離で施術する」ことを意識。
時間・約束を守る
- 5分前行動:出勤・朝礼・予約準備は「定刻に始める」ではなく「定刻前に整える」。
- 遅刻が確実なときは“判明した瞬間”に連絡。「あと何分で着く/代わりの対応」までセットで伝える。
- お客様をお待たせしない:予約時間は厳守。準備が間に合わないときは必ず一声「少々お待ちいただけますか」。
- 締切のある業務(日報・在庫・経理)は前倒しで。
報・連・相(ほう・れん・そう)
| 種類 | 内容 | タイミング |
|---|---|---|
| 報告 | 指示された業務の進捗・結果を伝える | 完了時・区切り時。悪い報告ほど早く |
| 連絡 | 関係者へ事実・情報を共有する | 気づいたらすぐ。漏れなく |
| 相談 | 判断に迷うことを上司・先輩に仰ぐ | 抱え込む前に。自分の案を添えて |
守秘義務・SNS・コンプライアンス
- お客様情報は最重要機密。来店事実・施術内容・会話・カルテを外部に漏らさない(家族・友人にも)。
- 著名人・知人の来店も「他言無用」。店内でも大きな声で名前を出さない。
- SNSへのお客様写真掲載は必ず書面同意。顔・特定できる情報の扱いに最大限配慮。
- 同僚・他店・会社の悪口、ネガティブ投稿はしない。「見られている」前提で発信。
- 誇大広告・医療効果の断定表現はNG(薬機法)。詳細は コンプライアンス 参照。
3. 第一印象を制する 〜メラビアンの法則〜
人の印象は出会って数秒で決まり、後から覆すのは困難。最初の一瞬に全力を。
人が受け取る印象の割合(メラビアンの法則):
- 視覚情報 55%:表情・身だしなみ・姿勢・所作・目線
- 聴覚情報 38%:声のトーン・大きさ・スピード・抑揚
- 言語情報 7%:話の内容そのもの
→ 「何を言うか」より「どんな表情・声で言うか」が9割。正しい敬語も、無表情・暗い声では台無しになります。
○ 良い第一印象
- 口角を上げた自然な笑顔(目も笑う)
- 相手の目を見て、明るくはっきりした声
- 背筋を伸ばした姿勢、手は前で揃える
- 名前を呼ぶ「○○様、お待ちしておりました」
- 少しゆっくり・落ち着いたトーン
× 悪い第一印象
- 無表情・作業しながらの「いらっしゃいませ」
- 下を向く・目を合わせない
- 猫背・腕組み・ポケットに手
- 早口・小声・語尾が消える
- 仲間内のノリ・タメ口が漏れる
4. 礼節と所作 〜美しい立ち居振る舞い〜
言葉と同じくらい、所作は雄弁。丁寧な動きは安心と信頼を生みます。
お辞儀の3種類
| 種類 | 角度 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 会釈 | 15° | すれ違い・入退室・軽い挨拶。「失礼いたします」 |
| 敬礼(普通礼) | 30° | お客様の出迎え・お見送り・基本の挨拶 |
| 最敬礼 | 45° | 深い感謝・お詫び・大切なお客様の見送り |
美しいお辞儀のコツ
- 語先後礼(ごせんごれい):「ありがとうございました」と言ってから礼をする。言葉とお辞儀を分けると丁寧に見える。
- 背筋を伸ばしたまま腰から折る(首だけ・猫背はNG)。
- 一番下で一呼吸止める→ゆっくり戻す。戻すときに目線を相手へ。
- 手は前で軽く重ねる(女性は右手を上、男性は指を揃え脇に/店の基準に合わせる)。
立つ・座る・歩く・待つ
- 立ち姿:かかとを揃え背筋を伸ばす。手は前で組む(後ろ手・腕組みは威圧的でNG)。
- 歩く:バタバタ走らない。急ぐときも早歩きで静かに。店内では足音・物音を立てない。
- 待機姿勢:壁にもたれない、スマホを見ない、私語をしない。「いつ見られても良い姿」で待つ。
- 座る(カウンセリング時):浅く腰掛け背筋を伸ばす。脚を組まない。前のめりすぎず傾聴の姿勢。
物の受け渡し・ご案内
物の受け渡し(両手が基本)
- カード・お釣り・お品物は両手で。文字や向きを相手側に向けて。
- ペンを渡すときはキャップを外しペン先を自分側に。
- 金銭授受はトレーを使い「お預かりいたします/お返しいたします」と声に出す。
ご案内・誘導
- 方向を示すときは手のひら全体で(指差しNG)。「あちらへどうぞ」。
- お客様の斜め前を歩いて先導。「段差にお気をつけください」。
- ドアは開けて押さえ、お客様を先に。施術室では「失礼いたします」と入室。
5. 敬語の基礎 〜尊敬語・謙譲語・丁寧語〜
敬語は「相手を立て、自分を下げる」言葉の道具。3種類を正しく使い分けます。
| 種類 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| 尊敬語 | 相手(お客様)の動作を高める | いらっしゃる・おっしゃる・ご覧になる |
| 謙譲語 | 自分(側)の動作を低めて相手を立てる | 伺う・申す・拝見する・いたす |
| 丁寧語 | 言葉自体を丁寧にする(です・ます・ございます) | です・ます・〜でございます |
💡 覚え方:「相手の動作=尊敬語(上げる)」「自分の動作=謙譲語(下げる)」。主語が誰かで判断する。
接客で必須の敬語変換表
| 基本形 | 尊敬語(お客様に) | 謙譲語(自分が) |
|---|---|---|
| 言う | おっしゃる | 申す/申し上げる |
| 聞く | お聞きになる | 伺う/拝聴する |
| 見る | ご覧になる | 拝見する |
| 行く | いらっしゃる/おいでになる | 伺う/参る |
| 来る | いらっしゃる/お見えになる | 参る |
| いる | いらっしゃる | おる |
| する | なさる | いたす |
| 食べる・飲む | 召し上がる | いただく/頂戴する |
| 知っている | ご存じ | 存じている/存じ上げる |
| 受け取る | お受け取りになる | 頂戴する/賜る |
| わかる | おわかりになる/ご理解いただく | 承知する/かしこまる |
| 会う | お会いになる | お目にかかる |
6. 接客7大用語とクッション言葉
まずこの基本フレーズを反射で言えるように。次にクッション言葉で印象を柔らかく。
接客7大用語(暗唱できるまで)
クッション言葉(依頼・お断り・確認を柔らかく)
用件の前に一言添えるだけで、印象が大きく変わります。
7. やりがちなNG言葉の矯正
いわゆる「バイト敬語」「二重敬語」。丁寧なつもりが、逆に印象を損ねます。
| × NG表現 | ○ 正しい表現 | 理由 |
|---|---|---|
| よろしかったでしょうか | よろしいでしょうか | 今のことは現在形で |
| 〜のほう、お持ちしました | 〜をお持ちしました | 不要な「ほう」 |
| 1000円からお預かりします | 1000円をお預かりします | 「から」は不要 |
| お釣りになります | お釣りでございます | 変化しないものに「なる」は誤り |
| 了解しました | かしこまりました/承知しました | 「了解」は目上に不適切 |
| すみません | 申し訳ございません/恐れ入ります | 砕けすぎ |
| どうしますか? | いかがなさいますか? | 尊敬語で |
| ご一緒します(同行) | お供します/ご案内します | 「ご一緒」は対等な場面の語 |
| とんでもございません | とんでもないことでございます/恐れ入ります | 本来は誤用とされる |
| おっしゃられる | おっしゃる | 二重敬語 |
| 拝見させていただきます | 拝見します | 二重敬語 |
| ご覧になられますか | ご覧になりますか | 二重敬語 |
| うちの店長が…(お客様に) | 店長の○○が… | 身内は呼び捨て+謙譲 |
8. 場面別フレーズ集(来店〜お見送り)
サロン接客の流れに沿った、そのまま使える言い回し集。
① お出迎え・受付
② カウンセリング・施術前
③ 施術中・施術後
④ お会計・金銭授受
⑤ お見送り
9. 電話・LINE・メールの作法
顔が見えないからこそ、声と文字に細心の配慮を。
電話応対の基本
- 3コール以内に出る。遅れたら「お待たせいたしました」。
- 第一声:「お電話ありがとうございます。Beene(店名)の○○でございます。」
- 明るく・はきはき・少しゆっくり。笑顔は声に乗る。
- 用件は復唱して確認(日時・人数・名前・連絡先)。「○月○日○時、○名様で承りました。」
- 保留は30秒まで。長引くなら折り返しを提案。
- 切るときは相手が切ってから、または「失礼いたします」と言って静かに置く。
- 聞き取れない時:「恐れ入ります、お電話が少々遠いようでして、もう一度お伺いできますでしょうか。」
LINE・メッセージ応対
- 営業時間内はできるだけ早く一次返信(「確認いたします」だけでも安心感)。
- 絵文字・スタンプは過度にしない。フランクすぎは品位を損ねる。お客様のトーンに合わせる。
- 箇条書き・改行で読みやすく。日時・場所・料金は明確に。
- 冒頭に「○○様、いつもありがとうございます。」、結びに「ご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。」
- 誤送信防止:送信前に宛先・内容を必ず確認。お客様情報の取り扱いに注意。
📎 配信・タグ運用は マーケティング運用マニュアル(LINE) 参照。
10. クレーム対応・お詫びの作法
クレームは「見限られていない証拠」。誠実な対応は、むしろ信頼を深めるチャンス。
初期対応の黄金手順(HEAT)
- H|Hear(傾聴):まず最後まで聴く。遮らない・言い訳しない・反論しない。
- E|Empathize(共感・謝罪):「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」。気持ちにまず謝る。
- A|Apologize & Ask(確認):事実を確認。「差し支えなければ、詳しくお聞かせいただけますか」。
- T|Take action(対応・報告):自分で判断せず店長・上司へエスカレーション。対応策と期限を伝える。
謝罪フレーズの使い分け
| 状況 | フレーズ |
|---|---|
| 軽い不便・気遣い | 恐れ入ります/ご不便をおかけしました |
| こちらの非 | 申し訳ございません/大変失礼いたしました |
| 深いお詫び | このたびは誠に申し訳ございませんでした(最敬礼) |
| 感情への配慮 | ご不快な思いをおかけし、心よりお詫び申し上げます |
最後は必ず感謝で締める:「貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。今後の改善に活かしてまいります。」
11. 研修プログラム(運用ガイド)
知識を「知っている」から「できる」へ。段階的に身につける研修設計です。
A. 新人接客研修カリキュラム(標準5日間)
| 日程 | テーマ | 内容・到達目標 |
|---|---|---|
| Day1 | 心構え・社会人マナー | 1〜2章。理念・身だしなみ・報連相。身だしなみチェック合格。 |
| Day2 | 第一印象・礼節・所作 | 3〜4章。笑顔・お辞儀3種・案内をロープレ。先輩前で実演。 |
| Day3 | 敬語・接客用語 | 5〜7章。変換表暗記・7大用語暗唱・NG矯正。口頭テスト。 |
| Day4 | 場面別接客フロー | 8〜9章。来店〜見送りを通しでロープレ。電話応対練習。 |
| Day5 | クレーム対応・総合試験 | 10章+筆記&実技試験。先輩シャドーイング開始。 |
B. ロールプレイ台本(例)
シーン①:初回来店のお出迎え
▶ 評価ポイント:笑顔・名前確認・天候配慮・クッション言葉・依頼形。
シーン②:「内出血が出た」というお問い合わせ(クレーム初期対応)
▶ 評価ポイント:傾聴→共感→事実説明→エスカレーション。反論しない。
C. 接客チェックリスト(自己・相互評価)
- 出勤前に身だしなみを全身鏡でチェックした
- お客様が入店して3秒以内に笑顔で挨拶できた
- お客様の名前を呼んでお迎え・お見送りした
- クッション言葉を添えて依頼・確認した
- 尊敬語と謙譲語を正しく使い分けた
- NG言葉(バイト敬語・二重敬語)を使わなかった
- 金銭授受で「お預かり/お返し」を声に出し両手で渡した
- お辞儀は語先後礼で、姿が見えなくなるまで見送った
- 電話は3コール以内・名乗り・復唱確認ができた
- 気づき・クレームを報連相し、記録に残した
D. 習熟度評価ルーブリック(4段階)
| 項目 | Lv1 要改善 | Lv2 標準 | Lv3 良好 | Lv4 一流 |
|---|---|---|---|---|
| 表情・第一印象 | 無表情・目が合わない | 挨拶時に笑顔 | 常に自然な笑顔 | 場に応じ表情を使い分け安心感を与える |
| 言葉遣い | タメ口・NG多い | 丁寧語は使える | 敬語を正しく使い分け | クッション言葉で柔らかく的確 |
| 所作・礼節 | 雑・音が大きい | 基本動作はできる | 美しいお辞儀・案内 | 無意識でも所作が美しい |
| 察し・心配り | 指示待ち | 言われれば動く | 先回りで気づく | 個別最適のおもてなしを創る |
| クレーム対応 | 動揺・反論 | 傾聴・謝罪できる | HEATで対応・報告 | 信頼回復・ファン化につなげる |
▶ 月1回、店長+本人で評価。全項目Lv3以上で独り立ち、Lv4が2項目以上で指導役(トレーナー)候補。人事評価と連動。